« 海風に乗って - 湾岸ご近所サイクリングの休日 | Main | コットン・バーテープの生産復活! »

November 07, 2004

サンプレックス・ツーリスト・チェンリングと果てしのない面取り

みなさん、こんにちは。 またまた 自転車いぢり応用講座 のお時間です。

Simplex Touriste Dural Chainringサンプレのチェンリングがやってきました。
 
1950年代にデザインされたロングセラーで、かつては、TAのシクロツーリストと並んで、ランドナー族の人気を二分したチェンリングです。  TAの直線的で無駄のない剛のイメージに対して、サンプレは、どことなく遊びのある柔のイメージです。



姿はじつにいいのですが、昔から、たわみやすいといわれている、このサンプレ。 じっさいに手にとって見ると、たわむどころか折れてしまいそうな感じさえするシロモノです。 折れるときはココからいっちゃうな、と思える構造上のウィークポイントがあったりします。
どう見ても頼りないチェンリングですが、もう惚れちゃったんだから、しょうがない。 なんとか使いこなしてやりましょう。 そういう危ういまでに繊細なラインが、このチェンリングの魅力。 まあ、普通の乗り方であれば、たぶん大丈夫でしょう ・・・たぶん (^^;)

そもそもフランスの古い部品は、そのデザインは素晴らしいのに、どうも仕上げが甘いものが多い気がします。 きっちりと最後まで仕事を仕上げるという気持ちが、どこか抜けちゃってるんですね。 そのへんがフランスらしいところなんでしょうか。 そういうちょっといい加減なパーツに、ついつい惹かれてしまうワタクシというのも、ちょっとどうなんでしょうね。

しかし、これはある時期までのフランス・パーツに限った話で、時代が下るにしたがって一定の品質管理がされているような気配がしてきます。 たぶん、フランスにも、ある時期にアメリカ式の品質管理が伝染しちゃったんでしょう。 そしてやがて国際競争ってなものが津波のようにやってきたわけです。 そして、だんだんオモシロイものが淘汰されてしまう。

これは、現代としてはあたりまえの進歩なのでしょうけれど、その結果、どこの国の製品も似たようなデザインに収斂してしまうのが、ワタクシとしては、どうも面白くありません。 ましてや、どこの国の自転車にもシマノがついているなんていうのは、まったくつまらない。 かつて、製品や市場が成熟してしまう前の、百花繚乱ともいうべきオモシロイ時代が自転車部品にもあったわけで、私たちがいつまでも古いパーツに惹きつけられてしまうは、たぶんその時代の熱気が今なお伝わってくるからなのかもしれません。

まぁ、かたいハナシはさておき、そういうわけなので、いざ自分の自転車に半世紀も前のパーツを使おうとすると、どうしてもひと手間かけることになります。 まぁプラモデルをひとつ手に入れたと思えばいいわけです。 プラモデルでは、バリを削ったり、張り合わせの線をペーパーで消し込んだりしますよね。 古いフランス・パーツもそういう仕上げ加工をしてから使う半完成キットだと考えるといいのかもしれません。 我らが磨き派サイクリストとっては、そんなことはぜんぜん苦になりません。

そこで今日の 自転車いぢり応用講座 ですが、今回は「面取り」について、すこし説明してみます。

飾り穴の面取りこういうチェンリングのような部品は、一枚のジュラルミンの板からプレス機で打ち抜いて作られるわけですが、たいていの場合、その打ち抜き痕が飾り穴の周囲にでこぼこに残っています。  面取りというのは、その荒削りな切断面にヤスリをかけて平らにし、さらにカドを丸くして滑らかにすることをいいます。  たとえば、ルーターに砥石を取り付けて荒削りをし、サンドペーパーでならし、かるくバフをかけて仕上げます。 しちめんどくさい作業ですから、そこまでやらないメーカーも多いわけです。 このサンプレックスも、期待に違わず、ほったらかしです。

それにしても、なぜ、そんなメンドクサイことまでするのか?  単純なハナシ、そのほうがずっときれいに、高級に見えるからです。 たとえば宝石にカットを加えるのと同じで、光を反射する面を増やせば、それだけ美しく見えるんですね。 複雑なパターンであればあるほど、面取りすることでいっそう見栄えが良くなるわけですから、なかなかやりがいがある作業です。

おもにそういう目的なので、ふつう面取りというと、チェンリングのパターンの周囲を手入れすることをさすのですが、今回はさらに手間をかけてチェンリングの「歯」を面取りしなければなりません。  このサンプレは歯の谷間もプレス跡がそのままで、荒削りのままなのです。  うーむ、フランス野郎め。 たっぷり楽しませてくれますね。 
ここはチェーンのローラーが接触する面なのですから、ここがざらざらしていると、いかにも伝導効率が悪そうですよね。  谷間を平滑にしておくことは、機械部品としてはずっと意味があるでしょう。 いざ、チェンリングを面取りする、というのであれば、まず歯の谷を面取りして磨くのが正しいわけで、いくら飾り穴だけをきれいにしても、自転車の性能には、なにも効果がありません。

寝る前に歯を磨きましょうさて、そういうわけで、秋の夜長に少しずつ面取りをやり始めてしまったわけですが、まあ、しかし、手間がかかりますね。 ルーターを握り締めて、ひとつひとつの歯の谷を削っていくんですから、へたな歯医者さんよりよっぽど仕事量があるんじゃないでしょうか。  いや、まいりました。 なかなかの苦行です。

いまどきのNC切削のチェンリングにしておけば、最初からスパッときれいにできてんのになあ。  いったい何をやってるんでしょうか、アタシは。  「ぜんぜん苦になりません」と豪語してみたものの、今回ばかりは磨き派もちょっとピンチです。  うぐぐ…

|

« 海風に乗って - 湾岸ご近所サイクリングの休日 | Main | コットン・バーテープの生産復活! »

Comments

すごいピカピカですね。これはもうサンプレとは別物のような気がします。私もこのリングは3Set持ってました。アルミ2Set。鉄1Set。磨くと深みのある輝きのアルミが好きでした。しかしパターンレスから切り出したミドルギヤを入れてトリプルにした時、峠で踏み込む度にFDとガリガリするチェーン。でも長距離を走る時、トリプルのミドルギヤの存在は、精神的に非常に頼りになるものでした。結局アルミ2Setは押入れに、鉄で組んだトリプルが今でも現役です。
サンプレのこのリングのデザインは何とも言えない魅力が有りますね。ここまで磨いてしまうお気持ちはすごく良く分かります。

Posted by: bitvalleyjp | November 14, 2004 at 02:00 AM

bitvalleyjp さん、その節はどうもありがとうございました。 おかげさまで、どっぷりはまって楽しんでます。 夜毎に「ポリッシュ・モード」に入ってしまうもんで、カミサンにあきれられてます。

やはり、さすがに経験を積んでいらっしゃいますね。 私は先輩達がやってきたことを30年遅れて楽しんでるんだな。 I'M OLD FASHIONED (by SADAO WATANABE with THE GREAT JAZZ TRIO) を磨き作業のBGMにしようと思いつきました (^^;)

サンプレは、歯数によってずいぶんニュアンスがかわるのもそそるところですね。 46Tの細い飾り穴、27Tの華奢なライン、あるいは38Tくらいの飾り穴のないミドルとか。 このさい精度のいい CT'S さんのレプリカというのも賢明かもしれませんが、しばらくは気長に探してみるつもりです。

Posted by: Yow | November 14, 2004 at 03:25 PM

こんばんは BD-1です。所有されているサンプレのチェンリングはアルミですか?鉄ですか?もしアルミであればかなり弱いチェンリングだと思うのですが、その後使用され不都合(トラブルなど)はございませんか?当方は48Tと33Tですが使用するとなると勇気がいります。使用感はいかがでしょうか?

Posted by: BD-1 | January 28, 2006 at 11:54 PM

アルミです。 ちゃんと平面に取り付かなくて、どうしても左右にすこしぶれが残ったので、アウターで力のあるひとが踏み込むとやばいかもしれないなあ、とは思いましたが、私の脚力の程度ならOK。 いろいろと浮気をしているので(^^;)サンプレでは平地で数百キロ走っただけですが、トラブルはなかったですよ。 見栄えがする点ではいちばん気に入っています。 弱点を承知の上で愉しむというシロモノでしょうかねえ。

Posted by: Yow | January 29, 2006 at 10:15 AM

ナーンダ、「Yow」さんも苦労していらしたんですネ。安心しました(^o^)。
私も頑張るゾーっと励まされます。

Posted by: east_bred | June 25, 2006 at 10:14 PM

はい~最初のころはかなり苦労してました。だんだん慣れてきて、なんとか半丸やすりを使いこなすようになりました。やっぱり基本に忠実にヤスリ目をしっかり取っていく段取りが、仕上げを左右しますねえ。
気長に楽しんでくださいませ!

Posted by: Yow | June 27, 2006 at 12:19 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/39773/1894258

Listed below are links to weblogs that reference サンプレックス・ツーリスト・チェンリングと果てしのない面取り:

« 海風に乗って - 湾岸ご近所サイクリングの休日 | Main | コットン・バーテープの生産復活! »